春には、桜を撮りにでかけます
何回も繰り返してきたそれはもうごく自然のことで
春のはじめ、わたしの暮らしの大切な時間のひとつなのです
寒くて長く感じる冬が明けて、
あたたかくなってくると
顔なじみみたいなあちこちの桜の木の様子を眺めて
また、全く知らない場所へ桜の木を探しにいくのです
朝起きていつも通り出かける時に
「あ、においが変わった」と思う瞬間が大好きです
深呼吸するたび肺に広がるかわいた空気、
やわらかい日差しのにおい
きらきらした春のにおいです
晴れた日も、雨が降った日も、桜が咲いている間はとにかくよく出かけます
カメラが濡れないよう注意しながら
傘を支えて桜を見上げて撮るのはとても大変だけど、
雨の雫が桜の花をすべり落ちていく様子はとても綺麗で、
少しの間億劫なことも忘れてしまいます
日本中、隅々まで桜の木を植えたら
日本列島は宇宙から見たら、春には桜色の島になるかもしれません
毎年そんなふうに考えては桜を眺めています
夜が来るたびいくつものことを悩むわたしは
春が来て桜が咲くと、少しだけ心が軽くなります
他の誰かにも、そういう瞬間があるのでしょうか
カメラにおさめた桜の写真で、そういう瞬間に
こっそり寄り添えたらいいなと思います